学びも、失敗も、島と仲間と家族のために。後編
福島
2016.09.20
川浪さんは生まれつき
血友病という病気で血が止まりにくく、
小さいころは学校に行けない日が多かったそう。
運動ができず、筋力や体力がなく、
膝や肘は自由に曲がらないという状況の中で、
友だちがなかなか出来なかったそうです。
だから、はじめて友だちが出来たときには
本当にうれしかった。
仲間の喜ぶ顔を見るためなら
何だってできる。
一点を見つめながら、
静かに話してくれました。
今も、仲間の喜ぶ顔が見たくて、
仲間がやりたいと言った“島フェス”を形にして
仲間と生まれ育った福島を未来につなぐために
誰よりも考え、誰よりも汗をかいている川浪さん。
しかし、病気のことを自分から口にすることは
ほとんどありません。
しかも、病気の内容は、
ご自身から説明を受けないと
それほどのものとは気付かせないほどの行動力。
驚きと尊敬の気持ちでいっぱいになります。
川浪さんの仕事は、
「映像クリエイター」。
もちろん、地元の需要はほとんどゼロ。
それでも、島から車で20分の所に拠点を構え、
独学で試行錯誤しながら
人のつながりでやってきたそうです。
“島フェス”の様子を映像でまとめて発信したり
松浦市の魅力発信にも一役買っています。
拠点とするオフィスは、
思いに共感し応援してくださる
ビルのオーナーさんが、
格安で貸してくれているそう。
海沿いでオーシャンビュー。
10人スタッフがいても
広々使えそうなひろさで、
都会では信じられない好条件です。
地元にいながらでも
やりたい仕事もたのしいイベントも
「やればできる」ことを証明したい。
そして、島を出た仲間たちに
「帰ってこいよ!」と言いたい。
島の子どもたちに
未来の可能性を広げて
バトンを渡したい。
なのに、
本気でやればやるほど、
たくさんの人に迷惑をかけて助けてもらって、
自分に足りないものが見えてくる。
自分はまだまだだと思い知らされる。
けれど、
自分にはたいせつな仲間がいる。
力を貸してくれる人がいる。
Photo by Kamegai Hidehiro(FUSE)
仲間や力を貸してくれる人が
力を合わせて一つのことに向かえる
環境をつくること。
それが、自分の役目だと気付いた。
一人じゃ何もできない。
けれど、仲間とならできる。
Photo by Kamegai Hidehiro(FUSE)
いつかきっと、
仲間と喜びを分かち合いたい。
支えてくれる家族をしあわせにしたい。
失敗を学びに変えながら、
先輩方の汗と、思いを継いで、
自分たちの手で未来へつないでゆく。
Photo by Kamegai Hidehiro(FUSE)
それが、松浦ならではの
「しごと」と「くらし」を楽しむことにも
つながってゆくのかもしれない、と感じました。

川浪 勇太 さん
映像企画・制作、イベント企画・制作等を行うクリエイティブプロダクション“FUSE”主宰。福島のイベントボランティア団体“NEW WAVE”でも代表を務める。生まれも育ちも松浦市福島町。子どものため、家族のため、仲間のため、島の未来のために、時間も労力もおしまず動き続ける思いと行動力を持つ松浦市の貴重な人財の一人。